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日出ツル處の憲法

ニッポンの憲法比較サイト

日本国憲法改正草案(自由民主党)

日本国憲法改正草案

※クリックで開閉します。

前文

 

 日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。

 

 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。

 

 日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。

 

 我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。

 

 日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

 

第一章 天皇

 

第1条(天皇)

 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

 

第2条(皇位の継承)

 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

 

第3条(国旗及び国歌)

 1 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。

 2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。

 

第4条(元号)

 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。

 

第5条(天皇の権能)

 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。

 

第6条(天皇の国事行為等)

 1 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。

 2 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。

  一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

  二 国会を召集すること。

  三 衆議院を解散すること。

  四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。

  五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。

  六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

  七 栄典を授与すること。

  八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

  九 外国の大使及び公使を接受すること。

  十 儀式を行うこと。

 3 天皇は、法律の定めるところにより、前2項の行為を委任することができる。

 4 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。

 5 第1項及び第2項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。

 

第7条(摂政)

 1 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。

 2 第5条及び前条第4項の規定は、摂政について準用する。

 

第8条(皇室への財産の譲渡等の制限)

 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。

 

第二章 安全保障

 

第9条(平和主義)

 1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

 

第9条の2(国防軍)

 1 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

 2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

 3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

 4 前2項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。

 5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

 

第9条の3(領土等の保全等)

 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。

 

第三章 国民の権利及び義務

 

第10条(日本国民)

 日本国民の要件は、法律で定める。

 

第11条(基本的人権の享有)

 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。

 

第12条(国民の責務)

 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

 

第13条(人としての尊重等)

 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。

 

第14条(法の下の平等)

 1 全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 2 華族その他の貴族の制度は、認めない。

 3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

第15条(公務員の選定及び罷免に関する権利等)

 1 公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。

 2 全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。

 3 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。

 4 選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われない。

 

第16条(請願をする権利)

 1 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。

 2 請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。

 

第17条(国等に対する賠償請求権)

 何人も、公務員の不法行為により損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は地方自治体その他の公共団体に、その賠償を求めることができる。

 

第18条(身体の拘束及び苦役からの自由)

 1 何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。

 2 何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

 

第19条(思想及び良心の自由)

 思想及び良心の自由は、保障する。

 

第19条の2(個人情報の不当取得の禁止等)

 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。

 

第20条(信教の自由)

 1 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。

 2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

 3 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。

 

第21条(表現の自由)

 1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。

 2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。 

 3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。

 

第21条の2(国政上の行為に関する説明の責務)

 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。

 

第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)

 1 何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 2 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。

 

第23条(学問の自由)

 学問の自由は、保障する。

 

第24条(家族、婚姻等に関する基本原則)

 1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

 2 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 3 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

第25条(生存権等)

 1 全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 2 国は、国民生活のあらゆる側面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

第25条の2(環境保全の責務)

 国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。

 

第25条の3(在外国民の保護)

 国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。

 

第25条の4(犯罪被害者等への配慮)

 国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。

 

第26条(教育に関する権利及び義務等)

 1 全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。

 2 全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。

 3 国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。

 

第27条(勤労の権利及び義務等)

 1 全て国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

 2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律で定める。

 3 何人も、児童を酷使してはならない。

 

第28条(勤労者の団結権等)

 1 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。

 2 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。

 

第29条(財産権)

 1 財産権は、保障する。

 2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。この場合において、知的財産権については、国民の知的創造力の向上に資するように配慮しなければならない。

 3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。

 

第30条(納税の義務)

 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

 

第31条(適正手続の保障)

 何人も、法律の定める適正な手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

第32条(裁判を受ける権利)

 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を有する。

 

第33条(逮捕に関する手続の保障)

 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官が発し、かつ、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

 

第34条(抑留及び拘禁に関する手続の保障)

 1 何人も、正当な理由がなく、若しくは理由を直ちに告げられることなく、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され、又は拘禁されない。

 2 拘禁された者は、拘禁の理由を直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示すことを求める権利を有する。

 

第35条(住居等の不可侵)

 1 何人も、正当な理由に基づいて発せられ、かつ、捜索する場所及び押収する物を明示する令状によらなければ、住居その他の場所、書類及び所持品について、侵入、捜索又は押収を受けない。ただし、第33条の規定により逮捕される場合は、この限りでない。

 2 前項本文の規定による捜索又は押収は、裁判官が発する各別の令状によって行う。

 

第36条(拷問及び残虐な刑罰の禁止)

 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、禁止する。

 

第37条(刑事被告人の権利)

 1 全て刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

 2 被告人は、全ての証人に対して審問する機会を十分に与えられる権利及び公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

 3 被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。

 

第38条(刑事事件における自白等)

 1 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

 2 拷問、脅迫その他の強制による自白又は不当に長く抑留され、若しくは拘禁された後の自白は、証拠とすることができない。

 3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされない。

 

第39条(遡及処罰等の禁止)

 何人も、実行の時に違法ではなかった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。同一の犯罪については、重ねて刑事上の責任を問われない。

 

第40条(刑事補償を求める権利)

 何人も、抑留され、又は拘禁された後、裁判の結果無罪となったときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

 

第四章 国会

 

第41条(国会と立法権)

 国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

 

第42条(両議院)

 国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成する。

 

第43条(両議院の組織)

 1 両議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する。

 2 両議院の議員の定数は、法律で定める。

 

第44条(議員及び選挙人の資格)

 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定める。この場合においては、人種、信条、性別、障害の有無、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。

 

第45条(衆議院議員の任期)

 衆議院議員の任期は、四年とする。ただし、衆議院が解散された場合には、その期間満了前に終了する。

 

第46条(参議院議員の任期)

 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

 

第47条(選挙に関する事項)

 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律で定める。この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない。

 

第48条(両議院議員兼職の禁止)

 何人も、同時に両議院の議員となることはできない。

 

第49条(議員の歳費)

 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

 

第50条(議員の不逮捕特権)

 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があるときは、会期中釈放しなければならない。

 

第51条(議員の免責特権)

 両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

 

第52条(通常国会)

 1 通常国会は、毎年一回召集される。

 2 通常国会の会期は、法律で定める。

 

第53条(臨時国会)

 内閣は、臨時国会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。

 

54条(衆議院の解散と衆議院議員の総選挙、特別国会及び参議院の緊急集会)

 1 衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する。

 2 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、特別国会が召集されなければならない。

 3 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

 4 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。

 

第55条(議員の資格審査)

 両議院は、各々その議員の資格に関し争いがあるときは、これについて審査し、議決する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 

第56条(表決及び定足数)

 1 両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 2 両議院の議決は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければすることができない。

 

第57条(会議及び会議録の公開等)

 1 両議院の会議は、公開しなければならない。ただし、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

 2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるものを除き、これを公表し、かつ、一般に頒布しなければならない。

 3 出席議員の五分の一以上の要求があるときは、各議員の表決を会議録に記載しなければならない。

 

第58条(役員の選任並びに議院規則及び懲罰)

 1 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。

 2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、並びに院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

 

第59条(法律案の議決及び衆議院の優越)

 1 法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。

 4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

 

第60条(予算案の議決等に関する衆議院の優越)

 1 予算案は、先に衆議院に提出しなければならない。

 2 予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 

第61条(条約の承認に関する衆議院の優越)

 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

 

第62条(議院の国政調査権)

 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

 

第63条(内閣総理大臣等の議院出席の権利及び義務)

 1 内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、議案について発言するため両議院に出席することができる。

 2 内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、答弁又は説明のため議院から出席を求められたときは、出席しなければならない。ただし、職務の遂行上特に必要がある場合は、この限りでない。

 

第64条(弾劾裁判所)

 1 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

 2 弾劾に関する事項は、法律で定める。

 

第64条の2(政党)

 1 国は、政党が議会制民主主義に不可欠の存在であることに鑑み、その活動の公正の確保及びその健全な発展に努めなければならない。

 2 政党の政治活動の自由は、保障する。

 3 前二項に定めるもののほか、政党に関する事項は、法律で定める。

 

第五章 内閣

 

第65条(内閣と行政権)

 行政権は、この憲法に特別の定めのある場合を除き、内閣に属する。

 

第66条(内閣の構成及び国会に対する責任)

 1 内閣は、法律の定めるところにより、その首長である内閣総理大臣及びその他の国務大臣で構成する。

 2 内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。

 3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。

 

第67条(内閣総理大臣の指名及び衆議院の優越)

 1 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会が指名する。

 2 国会は、他の全ての案件に先立って、内閣総理大臣の指名を行わなければならない。

 3 衆議院と参議院とが異なった指名をした場合において、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が指名をしないときは、衆議院の指名を国会の指名とする。

 

第68条(国務大臣の任免)

 1 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。この場合においては、その過半数は、国会議員の中から任命しなければならない。

 2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

 

第69条(内閣の不信任と総辞職)

 内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

 

第70条(内閣総理大臣が欠けたとき等の内閣の総辞職等)

 1 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員の総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

 2 内閣総理大臣が欠けたとき、その他これに準ずる場合として法律で定めるときは、内閣総理大臣があらかじめ指定した国務大臣が、臨時に、その職務を行う。

 

第71条(総辞職後の内閣)

 前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまでの間は、引き続き、その職務を行う。

 

第72条(内閣総理大臣の職務)

 1 内閣総理大臣は、行政各部を指揮監督し、その総合調整を行う。

 2 内閣総理大臣は、内閣を代表して、議案を国会に提出し、並びに一般国務及び外交関係について国会に報告する。

 3 内閣総理大臣は、最高指揮官として、国防軍を統括する。

 

第73条(内閣の職務)

 内閣は、他の一般行政事務のほか、次に掲げる事務を行う。

 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

 二 外交関係を処理すること。

 三 条約を締結すること。ただし、事前に、やむを得ない場合は事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

 四 法律の定める基準に従い、国の公務員に関する事務をつかさどること。

 五 予算案及び法律案を作成して国会に提出すること。

 六 法律の規定に基づき、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。

 七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

 

第74条(法律及び政令への署名)

 法律及び政令には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

 

第75条(国務大臣の不訴追特権)

 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、公訴を提起されない。ただし、国務大臣でなくなった後に、公訴を提起することを妨げない。

 

第六章 司法

 

第76条(裁判所と司法権)

 1 全て司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

 2 特別裁判所は、設置することができない。行政機関は、最終的な上訴審として裁判を行うことができない。

 3 全て裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

 

第77条(最高裁判所の規則制定権)

 1 最高裁判所は、裁判に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

 2 検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。

 3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

 

第78条(裁判官の身分保障)

 裁判官は、次条第三項に規定する場合及び心身の故障のために職務を執ることができないと裁判により決定された場合を除いては、第六十四条第一項の規定による裁判によらなければ罷免されない。行政機関は、裁判官の懲戒処分を行うことができない。

 

第79条(最高裁判所の裁判官)

 1 最高裁判所は、その長である裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官で構成し、最高裁判所の長である裁判官以外の裁判官は、内閣が任命する。

 2 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。

 3 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される。

 4 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。

 5 最高裁判所の裁判官は、全て定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、分限又は懲戒による場合及び一般の公務員の例による場合を除き、減額できない。

 

第80条(下級裁判所の裁判官)

 1 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。その裁判官は、法律の定める任期を限って任命され、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には、退官する。

 2 前条第五項の規定は、下級裁判所の裁判官の報酬について準用する。

 

第81条(法令審査権と最高裁判所)

 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する最終的な上訴審裁判所である。

 

第82条(裁判の公開)

 1 裁判の口頭弁論及び公判手続並びに判決は、公開の法廷で行う。

 2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、口頭弁論及び公判手続は、公開しないで行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪又は第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の口頭弁論及び公判手続は、常に公開しなければならない。

 

第七章 財政

 

第83条(財政の基本原則)

 1 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければならない。

 2 財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。

 

第84条(租税法律主義)

 租税を新たに課し、又は変更するには、法律の定めるところによることを必要とする。

 

第85条(国費の支出及び国の債務負担)

 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。

 

第86条(予算)

 1 内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け、議決を経なければならない。

 2 内閣は、毎会計年度中において、予算を補正するための予算案を提出することができる。

 3 内閣は、当該会計年度開始前に第一項の議決を得られる見込みがないと認めるときは、暫定期間に係る予算案を提出しなければならない。

 4 毎会計年度の予算は、法律の定めるところにより、国会の議決を経て、翌年度以降の年度においても支出することができる。

 

第87条(予備費)

 1 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。

 2 全て予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

 

第88条(皇室財産及び皇室の費用)

 全て皇室財産は、国に属する。全て皇室の費用は、予算案に計上して国会の議決を経なければならない。

 

第89条(公の財産の支出及び利用の制限)

 1 公金その他の公の財産は、第二十条第三項ただし書に規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため支出し、又はその利用に供してはならない。

 2 公金その他の公の財産は、国若しくは地方自治体その他の公共団体の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対して支出し、又はその利用に供してはならない。

 

第90条(決算の承認等)

 1 内閣は、国の収入支出の決算について、全て毎年会計検査院の検査を受け、法律の定めるところにより、次の年度にその検査報告とともに両議院に提出し、その承認を受けなければならない。

 2 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。

 3 内閣は、第一項の検査報告の内容を予算案に反映させ、国会に対し、その結果について報告しなければならない。

 

第91条(財政状況の報告)

 内閣は、国会に対し、定期に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

 

第八章 地方自治

 

第92条(地方自治の本旨)

 1 地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。

 2 住民は、その属する地方自治体の役務の提供を等しく受ける権利を有し、その負担を公平に分担する義務を負う。

 

第93条(地方自治体の種類、国及び地方自治体の協力等)

 1 地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括する広域地方自治体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める。

 2 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。

 3 国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない。地方自治体は、相互に協力しなければならない。

 

第94条(地方自治体の議会及び公務員の直接選挙)

 1 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例その他重要事項を議決する機関として、議会を設置する。

 2 地方自治体の長、議会の議員及び法律の定めるその他の公務員は、当該地方自治体の住民であって日本国籍を有する者が直接選挙する。

 

第95条(地方自治体の権能)

 地方自治体は、その事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

 

第96条(地方自治体の財政及び国の財政措置)

 1 地方自治体の経費は、条例の定めるところにより課する地方税その他の自主的な財源をもって充てることを基本とする。

 2 国は、地方自治体において、前項の自主的な財源だけでは地方自治体の行うべき役務の提供ができないときは、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない。

 3 第八十三条第二項の規定は、地方自治について準用する。

 

第97条(地方自治特別法)

 特定の地方自治体の組織、運営若しくは権能について他の地方自治体と異なる定めをし、又は特定の地方自治体の住民にのみ義務を課し、権利を制限する特別法は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の投票において有効投票の過半数の同意を得なければ、制定することができない。

 

第九章 緊急事態

 

第98条(緊急事態の宣言)

 1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

 2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

 3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

 4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

 

第99条(緊急事態の宣言の効果)

 1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

 2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

 3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

 4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

 

第十章 改正

 

第100条

 1 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。

 2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法改正を公布する。

 

第十一章 最高法規

 

第101条(憲法の最高法規性等)

 1 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

 2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 

第102条(憲法尊重擁護義務)

 1 全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。

 2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。

 

附則

 

(施行期日)

 1 この憲法改正は、平成○年○月○日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

(施行に必要な準備行為)

 2 この憲法改正を施行するために必要な法律の制定及び改廃その他この憲法改正を施行するために必要な準備行為は、この憲法改正の施行の日よりも前に行うことができる。

(適用区分等)

 3 改正後の日本国憲法第七十九条第五項後段(改正後の第八十条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、改正前の日本国憲法の規定により任命された最高裁判所の裁判官及び下級裁判所の裁判官の報酬についても適用する。

 4 この憲法改正の施行の際現に在職する下級裁判所の裁判官については、その任期は改正前の日本国憲法第八十条第一項の規定による任期の残任期間とし、改正後の日本国憲法第八十条第一項の規定により再任されることができる。

 5 改正後の日本国憲法第八十六条第一項、第二項及び第四項の規定はこの憲法改正の施行後に提出される予算案及び予算から、同条第三項の規定はこの憲法改正の施行後に提出される同条第一項の予算案に係る会計年度における暫定期間に係る予算案から、それぞれ適用し、この憲法改正の施行前に提出された予算及び当該予算に係る会計年度における暫定期間に係る予算については、なお従前の例による。

 6 改正後の日本国憲法第九十条第一項及び第三項の規定は、この憲法改正の施行後に提出される決算から適用し、この憲法改正の施行前に提出された決算については、なお従前の例による。

 

起草者

 

憲法改正推進本部

平成23年12月20日現在

 

本部長 保利耕輔

最高顧問 麻生太郎 安倍晋三 福田康夫 森喜朗

顧問 古賀誠 中川秀直 野田毅 谷川秀善 中曽根弘文 関谷勝嗣 中山太郎 船田元 保岡興治

副会長 石破茂 木村太郎 中谷元 平沢勝栄 古屋圭司 小坂憲次 中川雅治 溝手顕正

事務局長 中谷元

事務局次長 井上信治 近藤三津枝 礒崎陽輔 岡田直樹

 


憲法改正推進本部 起草委員会

平成23年12月22日

 

委員長 中谷元

顧問 保利耕輔 小坂憲次

幹事 川口順子 中川雅治 西田昌司

委員 井上信治 石破茂 木村太郎 近藤三津枝<兼務> 柴山昌彦 田村憲久 棚橋泰文 中川秀直 野田毅 平沢勝栄 古屋圭司 有村治子 礒崎陽輔<兼務> 衛藤晟一 大家敏志 片山さつき 佐藤正久 中曽根弘文 藤川政人 古川俊治 丸山和也 山谷えり子 若林健太

事務局長 礒崎陽輔

事務局次長 近藤三津枝

 

参考

日本国憲法改正草案 | 自由民主党 憲法改正推進本部